60代の暮らしと本のこと

60代、仕事と暮らしと本のこと

本日のブックオフ購入図書

『母さん、ぼくは生きてます』 アリ・ジャン著  マガジンハウス

この本は、現在も政情不安なアフガニスタンから、

宗派の違うタリバン兵士に追われ、やっとの事で日本へ逃げてきた

アフガニスタンのハザラ人』であるアリ青年の

これまで経験した話を聞き書きしまとめたものです。

生まれた時から戦闘がある世界に住み

砲弾の飛ぶ中をかいくぐって学校へ行ったり遊んだリしていました。

そんな中、遊んでいる最中に飛んできたミサイル弾が親友に命中し

アリ少年の目の前で命を落とします。

そして、兄二人のうち一人は行方不明、一人は投獄。

父親は商いで成功しましたが

政情が変わったとたんタリバンの搾取に何度もあってしまう。

その後父親がタリバンによって投獄。

母親はアリ少年が日本だったら安心して暮らせるから、と

日本で生き延びる事を進め、日本で勉強して生き続け

いつかアフガニスタンへ帰ってくることを決心します。

タリバンに追われ日本へ逃げてきたのですが

ブローカーに騙されパスポートもビザも持ち逃げされ、

不法入国者として拘束され、専用の施設へ収容されることに。

その施設での生活は、あまりにも理不尽な生活でしょう。

精神がまいってしまうのは無理もない事だと思います。

いつ出られるかもわからず、ただ日々を過ごし、

強制送還させられても地獄

いつまでもここにいても地獄・・。

施設での外国人の自殺は後を立たないようです・・。

彼のように、

わらにもすがる思いで日本へやってきた外国人にとっては

どれだけ苦痛の日々だったのか

読んでいると痛みがひりひり伝わってくる。

彼の痛みに涙がでました。

彼を助けようと多くの日本人が手を差し伸べ、

信頼を得ていることは

同じ日本人として、なんともほっとする。

けれど、この本を読むまで、

このような難民といわれる人が日本へやってきた時に

日本として、どのような対応をしていたのかを

まったくといって知らずにいました。

不法入国・不法滞在という言葉の持つ響きのせいか印象は良くないし。

アリ青年のように不法なブローカーによって

パスポートもビザも失ってしまった場合の対応も

知ることはなかったでしょう。

2005年には一応「難民としては認定されない」ことが

裁判によって取り消しになっていますが

現在はどうなのかはよくわかりませんが、

難民の支援団体との交流はあるようです。

この本は2004年に出版されましたが、

そのときアリ青年は墨田区の夜間中学2年・21歳でした。