60代の暮らしと本のこと

60代、仕事と暮らしと本のこと

子どもと本と学校図書館

最近よく考える事。

学校図書館司書

とは、子どもたちや学校にとってどういう存在なのか。

私たちの仕事は、どのように一般に認知されているのか。

学校に勤務しに行くようになってから
学校図書館司書の存在の意味をよく考えます。

学校図書館司書にとって「教科書」は
とても大事なツールになりますが
そこに学校図書館の本を利用して、とか
学校図書館の本を読んで、とか
学校図書館を利用すべき内容が多く記述されています。

今、私の勤務している学校では
先生方が忙しかったり、行事の関係があったりしても
それまでの[学校図書館利用経験]から
なるべく週1回の図書の時間を活用してくださるよう
努力していただいていますし、こちらからも働きかけることが出来ます。

また、行政から年間図書時間が決められているという事もあります。
(これはもちろん絶対ではないので、容易に他の教科時間へ変更できますが)

今までの私のいた環境では
小学校の図書館に学校図書館司書などはおらず
自分で学校図書館で探して読むか、クラスの学級文庫の図書を読む
でした。

また、ありがたいことに、小さい時から祖母や母親がたくさん本を与えてくれました。
読み聞かせてくれることは全くなかったのですが
本を与えていると静かに読んでいたからだと思います。
仕事はしていなかったのですが、大家族の世話で忙しかった母は
1人でも静かに夢中になって読んでくれていることが、きっと助かっていたんだと思います。
百科事典や全集は幼稚園へ行っていた頃から揃っていました。

なので、私は学校へ行っても1人で図書室へ通い、1人で本を借りて読むことが出来ました。
公共図書館へも足しげく通いました。

私はそんな環境で暮らしていましたが
多くの友達は1人で本を読むことをしていませんでした。

学校で先生が読み聞かせをしてくれていた記憶もありません。

他の友達はいつどんなタイミングで本と出会っていたのでしょう。

多くは学校の図書の時間に図書室へ行って
本を借りて読みましょう」という先生の呼びかけからだったのでは、と思います。

その先生が読書に関心があり、子どもの本をよく知っていて
国語の教科と合わせて読書を進めるような授業をしてくだされば
そのクラスの子どもたちは、きっと読書好きになるのでは、と思います。

また、学級文庫の存在も大きかったと思います。
友達が読んで「面白い」というと、他の友達へあっという間に広まります。
そんな風にブームになって読まれる本もたくさんあったように思います。

私の記憶では、クラスで学校図書館によく行っていた記憶はなく
やっぱり1人での記憶の方が多いのです。

本がない、という家もあるでしょう。
私は、自分の子供から友達の家には本がない、という事を聞いて驚いたことがあります。
雑誌はあるのだそうですが、いわゆる読み物の本がない、というのです。

自分の環境がそうだったので、多かれ少なかれ家庭の中に「本」というものはあるものだ
と思っていたのですが、それは大きな間違いだったようです。

家庭に本がないとすると、絵本や物語、それ以外の本に接する身近な機会は
きっと学校にしかありません。

教科書で物語を読む、ことはできません。
多くは、教科書に合わせて内容をカットしたり、少し変えたりしている部分があるからです。
教科書で知って、その本を、別ルート(買ったり借りたりして)でしっかり読む、というのが本当かなとも思います。

学校図書館は、子どもたちにとっては一番身近な「本を読める・本と接する」ことのできる場所です。
そこには、物語の本はもちろん、知ったり学んだり身につけたりできる
自分の好奇心を満たす本もたくさんあるのです。

先生が読書に関心が薄く(忙しく余裕がなく)学級文庫もないような場合
また、幼稚園から1年生になったばかりで
字が書けたり読んだりできる様になってくるときに読める本を
子どもたちは、自分で選ぶことが難しいのです。

そんなときに、読み聞かせではなく
その子にあった本を手渡しし、その子と本の世界をつなげる役割をする人が必要だと思うのです

なぜ本が必要か
本は、想像力を育み、心の糧となり、今その時必要なものを自然に与えてくれるものだからです。

本を読むことがすべてだとは思いません。
身体を動かして戸外で大いに遊ぶことも必要だと思います。
身についた体験・経験が、本を読んだ時に感じる共感をさらに大きくし
想像力を飛躍させてくれると思うからです。

学校図書館を利用しよう
と教科書は謳うようになっています。
でも、ただ行って「本を選んで読む」という事すら難しい場合があるのです。

やはり、そこには利用する人と本を結びつけるための「人」がいる

という事が「とても大切」なのだ、と思います。

ちょっと取りとめもない内容になってしまいました。

普通の多くのお母さんやお父さんは、あまりそこまで考えていないかもしれません。
学校図書館のことや学校図書館司書、という言葉自体を知っている人の方が少ないかもしれません。
学校図書館の役割がどんなものかも。

今後も仕事をしていくうえで、自分だけでなく
たくさんの人に知っていてほしい、と思う事でした。