60代の暮らしと本のこと

60代、仕事と暮らしと本のこと

様々な仕事

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学校司書をやっていると
学校司書の仕事って本当にひとりで起業して仕事を回しているのと一緒だな
と、よく感じる。


学校図書館に関する営業から事務庶務・広報・運営・企画・雑用(掃除片付け)まで
なんでもやる。

また、できないと仕事にならない。


読み聞かせボランティアでも
補修や環境整備ボランティアでもない。


それだけでなく、情報収集もできないといけない。
常にアンテナを高くし、新しいトピック時事情報
本の情報も掴んでおく必要がある。
常にレファレンスに対応できる下地と情報検索能力も必要だ。


頭をやわらかくし、たくさんのものを受け入れることも必要だ。


児童生徒を相手にすることで、児童心理や発達についても知っている必要があるし
学校教育に関わるので
学習指導要領や教育に関する知識も無いといけない。


好奇心を持って世界を見渡し
常にインプットしアウトプットする


この1人で様々な事をする学校司書という仕事は
大変ではあるが、楽しく、しかも素晴らしい仕事であるとも同時に思う。

毎日を過ごしていく

ご無沙汰しています。

なかなかじっくりブログに向き合う時間がありませんでした。
今も同様ですが
少しだけ記録しようと思いました。

今の業務になって1年半

去年は、全く手探りで何もかも自力で掴んでいかないといけない状況でした。

今年は去年の経験もあり、業務に必要な情報もある程度自分のなかに落とし込み
日々自分がどうすべきかを確認しながら(新たな業務を含め)過ごしています。

その中で感じることは
学校司書の仕事には、支援者が必要だということ。

これは前から感じていたし思ってもいたことですが
改めて強く思うようになりました。

週5日勤務であっても、学校司書は基本的に学校にひとり勤務です。
学校司書の業務に関しては、何かあってもその場に相談できる人はいません。

先生方が学校司書に相談したり、他の先生仲間に相談したりすることはあっても
学校司書が自分の業務に関することで先生方に尋ねる(相談する)ことはないのではないかと思います。

例えば、学校司書から先生に相談するのは授業支援・読書支援の内容などで、
学校司書業務の、この本の分類を修正したいけど何類に入れたら良いか、とかは相談することではないですよね。
この授業単元には今の資料のほかにどんな資料が有効か、とか
この授業の場合はどんな図書を使うといいのか、など。

ひとりで行う業務にもやはり限度があり
また、業務ではないことでも相談したいことはいろいろあるのではないでしょうか。

学校司書を配置しているところには
学校司書の支援センターがあり
そこに学校司書をサポートできるスタッフが常駐していることが重要だと思います。

毎日を過ごしていくことの大切さ
週に1回でも、学校司書へのサポートがあることで
より良く過ごして行く事ができるのではないか
と思います。

記録する

業務の記録

学校司書の業務の中でも大事なことのひとつに
自分が行った業務を記録しておく
という事があるかな、と思います。



毎日つける

日々つける日報だけでなく
その日、何年何組になんの本を読み聞かせした、とか
なんの本を紹介した、とか
授業支援でこのようなことをした、とか
資料収集で何を集めた(また、そのリスト)
などは、次年度以降の参考や自分の業務の見直しにつながるので
記録として残しておくことは必要かな、と思います。

これは、レファレンス記録と同じくらい大事なものではないでしょうか。
⇒小学校の業務の中でレファレンス記録を残しておくほど大変なことはない
かと思います。
たくさんあるし、細かいし、忙しいのでいちいちつけてる暇が無い
と、私のこれまでの業務の中では思います。
ただ、先生からの授業支援関連のレファレンスについては
前前勤務時代後半では残すように努力しました。



読み聞かせの記録

読み聞かせの記録はなぜつけるのか、と言うと
同じものを読まない、という事です。
1年間通してもそうですが、次の学年に上がったときには
次の学年に合う違うものを読むようにします。

この記録をつけておくと、小学校6年間
図書の時間の読み聞かせで
全て違うものを読み聞かせできることになります。
たくさんの本に触れてほしいですよね!

ボランティアさんがいるところでは、
ボランティアさんとかぶらないようにしたいですが
学校図書館での読み聞かせには、
授業支援を意識しての読み聞かせになることが多いので
そんなにかぶることも無いようです。



授業支援の記録

資料収集の記録は、
・いつ頃どんなものを収集したか
・どの単元で行ったか
・収集の依頼内容
が残っていると、次年度の参考になるだけでなく
選書リスト(購入図書のリスト)を作るときにも参考になります。
この辺の分類が少なかったから入れようとか
この時期にやるから、このあたりで購入しておこう、とかですね。




日々忙しい業務の中、記録をつけるのも手間ではありますが
この手間は惜しまないほうが良い
と、私は思っています。

学校司書のお仕事

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またまた久しぶりの投稿になります。

新年度になり、昨年度からのいろいろなことが未解決のまま
新年度にまたがり
ずっと学校図書館業務がスムーズに行かない状況が改善されず
進級処理も通常よりかなり遅い時期になってしまい
4月は各学校でもほぼ貸出のできない状況となりました。
この問題は私達ではどうすることも出来ず
こんなときはむしろ個人で業務できる自治体がうらやましくなります。

まだまだこの問題は業務をすればするほど噴出しており
これから蔵書点検の時期に突入するにあたってまだまだ不安要素がたくさんあり
今年度も悩ましく忙しい1年となりそうで、ホッとできないのがつらいです。

小中学校図書館の管理システムを作る業者さんは
小中学校図書館がどんな仕事をするところなのかをちゃんと知って理解して
そこに必要なシステムを作ってほしいと思います。
公共図書館大学図書館と同じシステムでは、はっきり言って使えません!!

さて、気分を変えまして

こちらのブログでは
「学校司書のお仕事」として
カテゴリーを少し手入れしました。

基本業務のHOW TOなども交えて
これまで学校司書として行ってきた内容の記事をくくっています。
皆様のご参考になればと思います。

年度末に必要な業務

久しぶりの投稿になりました。

毎日がアタフタと過ぎていきます。
気がつくと1年がたとうとしているなんて
なんだか嘘のようです。
これまでで最も早く感じられた1年ではなかったでしょうか。

さて、3月は年度末。

学校図書館も、年度末のまとめと新年度の準備をしていかなければなりません。

【統計】

年度末のまとめとしては
1年間の統計を出して記録することが大事ですね。

今年度の総貸出し冊数(各学年ごとにまとめたり全体のものを出したりなど)
前年度の数字と比較することで、次年度への課題が見えてきます。

【リスト】

また、図書の時間でどんなことをしたのか
授業支援でどのようなことをしたのか
時系列・学年別でリストを作っておくなどすると、次年度への参考になります。


1年間の学校図書館の様子を図書担当の先生にお知らせすることも大切なことではないでしょうか。
また、このことで図書担当の先生と次年度の計画を立てることができるようになりますね。

【お便り】

図書便りに統計情報を載せるのもいいでしょう。
多読者の冊数や多く読まれた本の紹介など、年度末のお便りに載せる方も多いと思います。

【返却・督促】

それから大事なのは、6年生や中学3年生など卒業する児童生徒・転出者の貸出図書の回収です。
ちゃんと返却してくれている子はいいですが
未返却のまま延滞になっている子へは、卒業や引越しの前にしっかり督促をして返却してもらわなければなりません。

本を持ったまま卒業・引越ししてしまうと、本の返却が難しくなる場合が多いです。
早めにチェックし担任の先生に協力していただき本を返却してもらいましょう。
先生への貸出図書も同様に行いましょう。
先生も意外と本を持って移動してしまう場合が多いようなので、気をつける必要がありますね。

【蔵書点検】

蔵書点検を行う学校も多いと思います。
蔵書点検で書架整理をしながら、新年度に購入する本のチェックをしていくといいでしょう。

【新年度準備】

そのほかに
新年度の準備は、進級処理の準備やそのあとのオリエンテーションの準備だったり
環境整備や掲示などの飾り付けでしょうか。

休みの間でないとできないことも多いと思います。
春休み中は意外と短いので、計画を立てながら新年度の準備をしていきましょう。

【引継ぎ】

もし、3月いっぱいで移動・辞める場合は、次の人と引継ぎができるなら
しっかり引き継ぎできる日を確保して大事なことを伝えていきましょう。

やり残したこと・できなかったことなどリストを作っておいたり
その学校独自のやり方の様なものがあれば、そういうことも伝えておくと
次の人の仕事がスムーズに行くでしょう。

引継ぎができない場合もありますが、そういう場合は
できる範囲で資料を残していけるといいのではないでしょうか。


年度末から新年度は思った以上に忙しいと思いますが
早めに計画を立てながら、少しずつ準備と作業をしていけるといいと思います。

昨年読んでよかった本 3

ベッキーアルバータリ/著 三辺律子/訳『サイモンvs人類平等化計画』岩波書店

ゲイである事を周囲の人(家族にも)に言えずにいたサイモンは、密かに同じ学校の生徒とメールのやり取りをしている事をクラスメイトに知られ、サイモンの幼馴染との橋渡しを脅迫される。

文章を読んでいくと、ふと、ライ麦畑のホールデンを思い起こさせるようなところがあるが、それは現代の少年(青年)とも共通なところがあるからのだろうな、と思った。

会話文がとてもいい。
訳者の三辺さんの腕だろう。

メールのやり取りをしながら思いをつのらせたり
劇の練習を友人たちとしたりする日常の中で
「カミングアウト」ってなんだろうと考える。

メールのやり取りでどきどきしたり
相手の事を想って胸がキュッとなる、なんて
普通の恋愛だ。

長い友達だと思っていても、実は知らないこともたくさんあって
驚かされることもいっぱいある。
それと、「LGBT」だったということと、どんな違いがあるんだろうか。

ゲイである自分ばかりがカミングアウトしなければいけないのはなぜ?
と思うサイモンの気持ちはなんとなく理解できる。
誰だって人に知られていないこと、秘密にしたり知られたくないことがあるだろう。
それを、自分だけがわざわざカミングアウトという形であらわさなければならないのか?
また、人に知られた後の反応を想像する怖さもある。
自分が大好きな人たちならなおのことだろう。

そんなリスクとあわせて、人類はもっと平等になるべきだ!と思うサイモンの気持ちは
理解できる人も多いのではないか。
そういうたとえを持ってきて描かれたこの物語は、とっつきやすく理解しやすい物語なのではないだろうか。

ラストのほうでサイモンのキラキラした幸せな恋愛の様子が描かれ
ハッピーな気持ちになる。
友達や家族との関係性もとてもいいと思った。
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昨年読んでよかった本 2

ウィリアム・グリル『カランポーのオオカミ王』岩波書店

絵本

シートンの『オオカミ王ロボ』を題材に、シートンのその後についてもあわせて描かれている。
グリルは、前作も非常に素晴らしかった『シャクルトンの大漂流』の作者だ。

一頭のかしこいオオカミ(ロボ)が群れを率いシートンと対決。
しかし、その事はシートンが自分の行動について考えを深めるきっかけになり、
その後のシートンは、ナチュラリストとして環境保護活動を行うようになる。

この絵本では、ロボが死んだあと
シートンが何を考えどう行動したのかまで、しっかりと描かれているところが素晴らしい。

表紙はニューメキシコのカランポーという場所で
キリムのような刺繍が施されたタペストリーを模した絵で物語を表現しているように見える。
絵は細かく描かれているが、状況がわかりやすく物語と非常にマッチしていると思う。
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消しゴムはんこ

不器用ですから

簡単な消しゴムはんこを作るのにも一苦労。

文字をはんこに抜いているのですが
ひらがなが数文字なのにとっても時間がかかるし
また、どう見ても彫り具合が汚い。

いろいろ作るのは嫌いじゃないし
子どもがうんと小さいときは
ドライフラワーリースやミニチュアフレームを作って
知人に販売したり注文受けたりしてたのですが
いまや、素晴らしく起用で上手な方がたくさん
マチュア作家として活躍されておりますね。

イベントの景品用にミニノートを作るのですが
その表紙用のはんこです。

続けていると少しは上達するのでしょうが
続ける余裕はないので出来上がったら終了です。
当分消しゴムはんこの作成も無いのでは、と思います。

はんこの写真は載せられません…

昨年読んでよかった本 1

*朽木祥『海に向かう足あと』KADOKAWA 2017.2.2

 

この作品の前にもヨットが出てくる物語を書いていたので、その流れか似たような話かなと最初は思いました。

淡々とした、でも美しく感じられる文章で、ヨットに関わる人たちの日常が語られていきます。

 

物語の舞台が現在とほぼ同時間であると言うことは、世界情勢が少しずつ織り込まれて描かれていることでわかります。

レースに参加しようとする青年たちそれぞれの家族や恋人、レースに向けての思いなど描いていくと同時に、今と同じような世界不安も描かれていきます。

その、少しの不安は物語の中心となるヨットレース前日まで顔を覗かせますが、読みすすめるうちにだんだんとその不安が大きくなりつつある事を感じ取ることができます。

 

そして、レース当日。

普通に日常を過ごしていたところに、これまで感じていた不安が突如巨大なものになって現れ、日常がいきなり途切れます。

レースに向かっていくという、いわゆる私たちの日常が、突然ぷつんと途切れることの怖さを感じ背中が凍りつくような思いでラストを読みました。

 

今、そこにある現実を忘れずに生活していくべきなのでしょうが、なかなか自分ごととして捉えるのが難しい。

かつての戦争も、こんな風にして始まったのでしょうか?

以前の戦争とは違い、現代ではそれこそ取り返しのつかない未来となってしまうことがわかる恐ろしさです。

 

朽木さんの抑えた美しい文章が、静かに心に沈んでいくようです。